敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「はあ、はあ、待ってください、どこへ向かっているんです?」

 彼は雪を路地に面した小さな喫茶店へ押し込んだ。

「いいか、絶対呼ぶまで出てくるな!」

 そう言って、ばたんとドアを閉めた。

 後ろから店員が来て鍵を閉めた。

「出たらだめですよ」

 ガラスのドアから外が見えた。

 高原は路地に身体を隠して大通りをじっと見ている。

 すると息を切らした男が角を曲がって来て叫んだ。

「佐山は何処へ行った?!」

「さてね」

「あいつのせいで俺は……クビになるかもしれないんだ!」

「君はもしかしてジャーナルの佐藤記者か?」

「お前、高原だな……ちょうどいい、こいつも一緒に懲らしめてください」

 佐藤は後ろを振り返る。しかし、後ろには誰もいなかった。

 警備員が後ろにいるはずの男を締め上げているのが見えただけだ。

「くそっ!」

 事態に気づいた佐藤はナイフを出して高原に向かって来た。

 高原は佐藤のナイフを持った手を掴んで、上に向けるとそのままくるりと身体をひねった。

 男の身体が宙を舞った。ドスンという音がして男の身体が地面に落ちた。