敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 
 最近、高原は雪と待ち合わせて帰るようになった。

 そうなると、彼の部屋へ一緒に帰ることがほとんどだ。

「これじゃ、同棲しているようなものじゃないですか……」

「そうか?朝は行先が違うこともあるだろう?」

「そういうことじゃないですよ」

「倒れた日に雪が言ったんだぞ。俺と会えないから病気になったって……」

 ニュアンスがかなり違う。話さないから病気になったと言ったのだ。

「それはそういう意味じゃないです……」

 彼の言葉は雪にとって魔法だ。今頃気づいた。

 足りなくなると不安になり、迷子の子羊になる。

 昇格した今こそ、できるだけ側で声をかけてほしい。

 だからあの日、なるべく顔を見て話をする時間を作りたいと言ったのだ。

「わかってるよ。だから話す時間を増やして、あっちは自制してるだろう?」

「……」

 * * *

 その日も、仕事終わりに二人で駅へ向かっていた。

「雪。記事がエントリーの五本に入ったそうだな。おめでとう」

 ジャーナリストの一年に一度の大きな賞レース。

 経済部門賞だ。年間五本の指に初めて入った。