敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「すみません。部下に仕事を振るのが昔から苦手なんです」

「今日はとにかく休むんだ」

「で、でも午後から課長会議なんです」

「それは海江田が代理で出る。心配するな」

 文句を言おうとしたら、口を手で塞がれた。

「言うことを聞かないなら、役員権限で課長職から降ろすぞ」

「いやですっ!」

 涙目になった雪を大きな手が抱きしめた。

「周りにあまり心配をかけるな。わかるだろう?」

 海江田は何も悪くないのに、僕の責任ですと謝っていた。悪いのは雪だ。

「はい……わかりました。今日は休みます」

「余計なことを悩むな。俺がついてる。とにかく少し眠れ」

 高原には雪の内面まで見えていたのだろう。

 唇にキスを一つ落として、彼は出て行った。

 雪は言われた通り何も考えず目を閉じた。

 彼のキスは睡眠薬より効いた。久しぶりに深く眠ったのだ。

 * * *

 数日後、突然本部長から新たな取材テーマの指示が出た。

 二人一組で取材をし、二か月後に記事を出してもらいたいという。

 その日から、二人一組で取材をまわるようになった。