敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「海江田君。気にしていてもしょうがない。昔の記事が今に当てはまらないこともあるわ」

「反論したらどうです?」

「昔のコラムは今現在の状況と違うって書くの?馬鹿馬鹿しい。時間がない、行くわよ」

 海江田と一緒に取材へ急いで出た。

 * * *

 雪は最近、高原と会えなくなり、精神的につらくなってきた。

 昇格してからつきあいだしたが、つきあってからのほうが高原と会えなくなった。

 直接の師弟関係もなくなり、彼は会社にいる時間も少ないうえフロアが変わった。

 同じ社屋にいるのに、一度も会わずに終わる日が増えてきたのだ。

 彼の部屋に行く時間も取れず、電話かメールが多くなった。

「雪。わかっているだろうが、奴の挑発は気にするなよ」

「はい」
 
 昨日も心配して電話をくれた。

 チームリーダーは本当に忙しい。

 多少は覚悟をしていたが、想像以上だった。

 前任の彼はこの忙しさの中、部下を導きながらあれだけの記事を書いていた。

 本当に尊敬する。

 雪は元々持病もあってあまり体力に自信がない。

 最近中傷記事のこともあり、悩みも増え、眠れないせいか疲れがとれない。

 まずいと思ってはいた。