敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「雪は真面目で繊細ですからね」

 名前で呼ぶな。

「……」

「副社長も含め、私達で守りましょう」

 私達?それも気に入らない。しかしここは雪の為に我慢だ。

「もちろん守りますよ」

 そのままエレベータに乗るため背を向けた。

「高原さん」

 呼ばれて振り向く。

「彼女を頼みます。友人としてお願いします」

 俺の不機嫌に気づいたんだろう。彼は友人と強調した。

「はい。失礼します」

 会社へ戻った俺は、次の手を打った。

 佐貫部長ならぬ、本部長を呼び出した。

「佐貫本部長、頼みがあります」

「なんでしょう、常務?僕はあなたの部下ですから何でもやります」

「やめてください、佐貫本部長」

 この人はふざけてばかりだ。

「なんだ、佐山のことか?あの記事、評判だな。他の会社でも言われたよ」

「佐山のチームでコンビ取材をさせたいんです。テーマを与えて二人一組で来月まで競わせます」

「コンビ取材?……二人一組。あ、もしかして佐山の為か?」

 俺は最近の佐藤記者の雪への記事攻撃や社長に聞いた話を伝えた。