マウントを取られても、今の俺は雪のことならプライドを捨てて頭を下げられる。
「頼む」
「頭をあげてくれ。悪い、調子に乗りすぎた。いい会社を紹介する。安心してくれ」
雪本人に言うと、ストレスになる。
出来る限りの手を打って彼女を守ることを選択した。
帰り際、秘書の福原に聞かれた。
「高原さん、佐山に何か危険があるんですか?」
心配なんだろう。気持ちはわかるので率直に答えた。
「最近彼女の書いた記事の反響が大きいのは知っている?」
「ええ。大学時代の卒論でも書いていた、日本貿易に関する記事でしょう」
さすが元カレ。腹が立つがここは許す。
「新しい星が輝くと、古い星はその星の輝きのせいで見えなくなりやすい」
「なるほど、そういうことですか。何かあれば力になるので言ってください」
真面目な顔をして俺を見る。ありがたいが、君に頼むくらいなら他に頼む。
「ああ、ありがとう。まず、今日のことは彼女に黙っていてくれないか」
「どうして?自覚させたほうがいいでしょう」
「いや、最近彼女の過去の記事が攻撃されている。これ以上ストレスを与えると仕事に影響する」



