敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「……それ、まだ決まってなかったんですか?」

「うん、常務が言うには社長がチーフの事故を理由に保留しているらしいよ」

 それで連絡がきたのか。ようやくわかった。

「その幼馴染のお嬢様から先日私に電話が来たんです。明後日会います」

「ちょっと、どういうこと?!」

 今度こそ、小西さんは驚いた。

 * * *

 その数日前のことだった。

 駅へ向かっている途中、突然仕事の携帯に電話がかかってきた。

「はい、EFRの佐山です」

「……あ、あの、突然のお電話ですみません。私、宗田奈美といいます。高原透さんの許嫁です」

 あの人だ!三年前の声の人……。落ち着いてと自分に言い聞かせた。

「どのようなご用件でしょうか」

「あ、あの、実は透君のお母様から、聞いてその……こちらに電話を……」

 チーフのお母様?ひと月前の病院でのやり取りを思い出した。もしかして……。

 それにしても時間がない。次のアポイントがある。

「あの、申し訳ないのですが、後ほどかけなおさせて頂いてもいいですか?今外出中で、約束があるので……」