敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 副社長は立ち上がって、佐貫本部長を促した。信じられない。

「ご案内なら、私があの……」

「当事者がいないとダメでしょ。僕も同席したいけど、狼に噛みちぎられそうだから、退散するよ」

 真司の肩をポンとたたいた副社長は本部長を促して外へ出た。

 真司はチーフを見たまま言った。

「あの日、雪が交際に応じてくれなかったのは、この人のせいだろう?」

「あの、真司、お願いだから、落ち着いて……」

「福原君。氷室に何を言われたか知らんが、感謝するよ」

「え?」

「ずっとタイミングを見計らっていたが、背中を蹴ってもらって助かった」

「……チーフ!」

「まさか、それがきっかけで告白したとか?」

「ああ、やっとね。上司の座は外れるが、彼氏の座はもらった。永久に、だ」

 真司は雪の顔を見て全てわかったんだろう。ため息をついた。

「告白してなかったとは驚いた。雪の様子を見るにセフレなんだと思っていました」

「真司!」

「失礼な奴だな」

「この三年で綺麗になった。僕も副社長に焚きつけられはしましたが、記者の雪に惚れ直した」

「チーフの名誉の為に宣言します、私達はただの上司と部下だったの!」