敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 高原が雪を見た。

「あ、はい」

 チーフが今の仕事を手放す話はしたんだろうか。本部長が頷いた。

「先ほど、副社長に高原の昇格とチームを離れる話はした」

「おめでとう。課長から常務ってどういうルートだ?」

「相変わらず、嫌みな奴だな。今まで椅子を温めてたんだよ」

「お前が未だに課長ってどんな会社かと思っていたが、そういうことだったか」

 ふたりの丁々発止に本部長も呆れている。真司は雪を見て微笑んだ。

 チーフはそれに気づいて、真司を見た。

「彼は秘書の福原さんだね。久しぶりに会った。覚えているかな?」

「もちろんです。覚えていてくださったとは光栄です」

「それはそうだ。あの頃、大事な部下の特別だったわけだからな」

「記念日にも残業を入れさせたのに特別と思っていたんですか?」

 驚いた。真司が攻撃してくるとは思いもしなかった。

 部長はびっくりしている。それはそうだろう。

「おい、佐山、まさか……」

「すみません、あの、ここは仕事場ですので、話を戻しましょう」

「いや別にいいんじゃない?大事な話だ。佐貫本部長、ちょっと社内を案内して下さい」