敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です


 応接室へ入ると、やはり真司も来ていた。

 客として副社長の横に座っている。

 副社長はチーフを見るとニヤッと笑い、立ち上がった。

「本当に久しぶりだ。二十年ぶりか?」

「ああ。氷室は相変わらずの男前だな。でも結婚したらしいな」

「そういう高原は未だ独身なんだろう?あの頃の様に女を泣かせてるのか?」

「そんなわけないだろう……この仕事は危険なんだよ」

「そうだな、今回のことでよくわかったよ。モテるお前が独り身なのもそのせいか?」

「そう、突っかかるな。今回は勝手に巻き込んで、色々迷惑をかけた。本当に申し訳ない」

 チーフが副社長に頭を下げた。

「本当に申し訳ございませんでした。そしてありがとうございました」

 雪も横で頭を下げた。

「高原には電話で散々謝ってもらったし、佐山さんは関係ないでしょう」

 事件の話になり、雪は黙って聞いていた。

「お台場の件では、これからも世話になると思う。今回の様に教えてほしい」

「こちらこそよろしく頼む。あと、晴海の担当はうちの下に引き継ぐ予定だ」

 初耳だった。驚いた。

「頼んだぞ」