敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 雪は高原に微笑んだ。

「私は今、高原チーフの偽カノです。真司にそのことを言えないので本当に助かりました」

「へえ……。でも、俺の怪我が治っていて、その偽カノが終わっていたらどうしていた?」

「どうしてそんなことを聞くんです?」

「どうしてだろうな。気になるから聞いている」

「さっき、彼がチーフのことをパワハラだと言ってました」

「ふーん」

「業務時間外、夜遅くに自分の家へ仕事で呼び出すなんて変だと言うんです」

「そうだな。佐山のプライベートの予定も昔から把握してた。訴えるか?」

 高原は上目遣いに彼女を見た。

「訴えません。私は聞いてもらえないと寂しいんです。もう私に興味はないのかなとか思います」

「雪、お前」

「チーフに言われることはいつ何時だって嫌だと思ったことはないんです」

 高原は雪に向き直った。

「佐山。実は話があるんだ……」

「やめてください!」

「……!」

「いい話じゃないでしょ?顔色見ただけでわかるもん」

「雪……」

「チーフは私から離れていこうとしてるでしょ?チームを私に預けてどこかに……」