敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「ごめんなさい、ちょっと今日はあなたの約束の為に持ち帰っている仕事もあるから帰る」

 何しろ高原の分も仕事があり、自分の分を整頓して成美に引き継がねばならない。やることは山程ある。

「全く、相変わらずなんだな」

「あ。ほら、もう呆れてるじゃない」

「ま、しょうがないな。EFR看板記者の佐山さんだから忙しいんだろう」

「おだてたって無駄よ。そうだ。今日は割り勘にしましょ」

「雪、変わったな。じゃあ、そうさせてもらうかな」

「ええ。今は友人だからね」

 一緒に店を出る。思ったより時間が遅くなった。

「雪、どこに住んでるんだ?」

「えっと、会社の近くのマンション群に住んでる」

「前は会社から近くなかったよな。引っ越した?」

「うん。別れてから引っ越したから、真司は知らないところかもしれない」

 タクシーを使うように警察から言われているので、タクシーを呼んだ。

「そうか、危ないからタクシー使ってるんだな?」

「あ、うん」

 タクシーに乗り込もうとすると、彼が私の背中を押して後ろから入ってきた。

「ちょっと……」