敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 はっきり言って、雪のことなど綺麗さっぱり忘れていたんだろう。

 それなのに、久しぶりに会ってすぐ、復縁を口にするなんて妙だ。

 氷室副社長に過去を話して、けしかけられたせいかもしれないと思った。

 雪はもう一度真司とやり直すつもりはなかった。

 別れてわかったこともあるのだ。

 それに、今の雪には真司以上に心を占める男性がいた。

 想いに長い間蓋をしていたのに、その蓋が少し開いてしまった。

 他の男性など目に入らない。

 ただすぐに断ることはマズい気がした。

 真司とはガッツリ仕事が絡んでいる。

 副社長が今日のことを知っていたらますますまずい。

「ねえ、真司。私達久しぶりにプライベートでは会った。でもあなたは別れてから私にメールひとつくれなかった」

「雪……それは……」

「責めるつもりはないわ。私も同じだったもの。これから仕事を通じて新しいお付き合いが始まる」

「だから?」

「交際はもう少し考えてみてからでも遅くないと思う。お互い違う面を見たら考えも変わるかもしれない。どうかな?」

 真司はむっとした。

 まさか、断られるとは思っていなかったんだろう。