敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「お前の上司、うちの副社長に晴海の件丸投げしようとしたんだろう?」

 吐き捨てるように言う真司に雪は驚いた。

 だが、雪はチーフのことを誤解されるのだけは嫌だった。
 
「それは違う。氷室商事を助けるためでもあったの」

「どういうことだ?」

「副社長から何も聞いてないの?」

「副社長が腹心の人に頼んで片付けてる。俺も巻き込まないためだと言われたよ」

「副社長は私にも隠してた」

「あの人はすごい観察眼なんだ」

「それにしたって……これからも担当なのに、情けないよね」

「いや、立派になったよ。副社長も褒めていた。実は惚れ直したよ」

「え?」

「名門EFRの記者になったんだと思わされた。副社長は雪を気に入ったようだった」

「どうして急に秘書になったの?だって前は営業だって言ってたじゃない」

 真司が急に頭を下げた。

「前から営業じゃなかった。内密にする仕事が多くて、マスコミに就職したばかりの雪に話せなかった」

「嘘?何それ?私を信用してなかったってこと?」

 正直驚いた。彼女だったのに信用されていなかった。嘘をつかれていたとは、ショックだ。