敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 翌日の夜、雪は真司と食事の約束をしていた。

 高原には適当にごまかした。心配をかけさせたくなかったからだ。

 つき合っていた当時にふたりで行っていたイタリアンでの待ち合わせ。

 三年ぶりだったが、まだ当時のままだった。

「雪、待たせたか?」

 後ろから、彼が入ってきた。

「ううん。私も来たばかりよ」

「なら、よかったよ」

「あの頃、いつも待たせてばかりだったから、今日は真司より早く来られてなんだか嬉しいわ」

「今は俺の方が雪を待たせたから仕事が忙しいってことかもしれないな」

「そうね……」

「雪の記事を読んだよ」

「あ、うん……」

 今月号が氷室商事の記事だった。この間のインタビューがトップ掲載されていた。

 真司にどういわれるだろうと少し緊張していた。

「とてもよかったよ。元カノが、書いていると思うだけで何だか誇らしかった」

「ありがとう」

「それで、雪の身辺は大丈夫なのか?俺は心配していたんだぞ」

「……え?」

「上司が襲われたんだろう?副社長から聞いたよ」

「うん。驚いたよ。私は大丈夫だけど心配しちゃった」