敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「やめてくれよ、高原。この昇格は当たり前だ。遅すぎるくらいだぞ」

「昇格に興味は全くありません」

「お前の実力は俺の数段上だ。今までだってここは二人部長がいると言われてきたんだ」

「言いすぎですよ」

「透。大学の講師になるということは社会的な立場も出来る。後輩の為に道を敷け」

「社長」

「今回の晴海の件、氷室商事の社長が政府に内密で報告をあげたようだ」

「そうなんですか」

「傷害事件もあったので、お前のことも伝えてある」

「初耳です」

「今回のことに気づいたのは高原だと報告している。そのことも高く評価されてる」

「代償は大きかったですよ」

「全くだ。命に別状がなくてよかった。お前の父親に監督不足だと嫌みを言われた」

「すみませんでした。父にも病院でたっぷり叱られました。大学講師の仕事を受けると言ったら喜ばれました」

「そうか、透に足りないのはあと結婚だけだな。彼女も昇格するし、仕事も離れる」

「余計なお世話です!」

 佐貫部長と社長はお腹を抱えて笑っていた。

「もたもたしてると誰かにとられるぞ。早くしろよ。見てるのは疲れるし、正直待ちくたびれた」

 しかしそれは冗談ではなかった。

 高原に強力なライバルが現れたのだ。