敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「ありがとうございます」

 高原は雪に自分の気持ちをいつ伝えるか迷っていた。

 偽カノとしての役目はあと一週間程度で終わりが見えている。

 翌日。

 高原は松葉杖をついて、皆に内緒で社長を訪ねて事務所へ来ていた。自分の今後について社長から話があると聞いたからだ。

 雪が自分の代わりにチームの部下や、新人をまとめている姿を部長室からこっそりと眺めていた。

「なんだ、そんな目をして……怪我を利用できたか?」

 部長が笑いながら言う。

「どうして部長まで……俺はそんなにわかりやすかったですか?」

 高原は頭をかかえた。

「今さらなんだ?誰かに言われたか?」

「昨日、副島さんに同じようなことを言われました……」

「そうか、バレバレなんだよ。仕事はできる癖に、お前は色恋に関しては全くダメダメだ」

「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか」

「お蔭で周囲は気を遣いやきもきさせられてきた。いよいよ年貢の納め時だな。それで大学講師の方は決まったか?」

「はい。来月から非常勤でお世話になるつもりです。部長、来月から隔月で特集記事を載せさせてください」