敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 高原は雪の顔を見ていると、最近抑えきれない感情が出てくるのを自覚していた。

 それでなくともここ数日、まるで新妻のようにかいがいしく世話をしている姿を目の当たりにしているのだ。

 上司として長い間雪を見てきたが、ここで見る彼女は違う魅力にあふれていた。

 蓋をしてきた感情があふれかけている。別な意味で彼女を離したくない気持ちだ。そのことが彼を悩ませていた。

 今も彼女の揺れる瞳を見た瞬間、今まで抑えてきた衝動が身体を駆け巡る。

 このままでは押し倒してしまいそうだった。帰ってもらわないと困るのだ。

 雪を帰すと、高原は晴海商事の元会長に電話をした。

「その後、晴海の社内捜査はどうなりましたか?」

「ああ、警告文を出した奴は経理の担当部長だった」

「予想通りでしたね」

「社長は会長と私とでつるし上げたので、白状したよ」

「そうですか。それで実行犯は?」

「部長の友人でよからぬ筋の人間だったようだ」

「捕まえるのは難しそうですね」

「警察が警告するだろう。そんなことより、君の怪我はどうだね?」