敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 以前常務とその話をしたときに、チーフは私達を育て上げたら独立し、飛び級で職種が一気に上がるだろうと言っていた。

 つまりその時がきたのかもしれない。

「決まったら必ず最初に教えてください。私、納得できなかったらチーフのあとなんて引き受けませんからね」

「何を言ってるんだ。新しいチームを持つのはお前の夢だったはずだ」

「だって……」

 雪は想いがあふれてまた涙が出そうになった。

 黙って雪を見ている高原は何かに耐えるような表情を見せた。そしてかぶりを振った。

「……ほら、今日はもう帰っていいぞ」

「……」

「泊まりたいのか?部屋はあるし、偽カノだからここで寝るか?」

「チーフの馬鹿!帰ります」

「ああ、気をつけろよ」

 こういう日ももうすぐ終わりが近いと思うと、雪は本当に昇格したくなかった。