敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「海江田が先に切り上げて事務所へ戻るらしい。あいつと交換でこっちへ来てくれ。車を使えよ」

「近いから大丈夫です」

「雪、言うことを聞け!何があるかわからないし、危ないからそうしてくれ」

 雪は名前で呼ばれてびくっとした。

「名前を呼ぶと大人しくなるんだな。これからは雪と呼ぶことにしようか」

 雪の赤い顔を見て笑っている。

「帰りに持ってきてもらいたい資料もあるんだ。メールで指示する書類もだ」

「わかりました。じゃあ、お大事にしてくださいね。またあとできます」

「ああ」

 おかゆなどを準備して、雪は急いで事務所へ向かった。

 * * *

 事務所へ戻ると、成美はひとりで打ちひしがれていた。

「お疲れ様」

「あーん、先輩。やっと帰ってきたあ……」

「どうしたの?」

「こういう日に限って電話も突然の来客もあるんです。私って本当についてないかもしれないです」

「大変だったね。海江田君が先に戻ってくるでしょ?」

「そうですね、今日の研修は切り上げて戻ってきます。二時過ぎになりそうです」