敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 マンションの高原の部屋の近くにはやはり警官がいた。緊張感が漂う。

「悪いが鍵をあけてくれ」

「わかりました」

 松葉杖の彼に代わり、雪が部屋の鍵をあけた。

 雪は久しぶりに高原の部屋へ入った。

 書類を届けに来たり、持ち帰ったりはあるが、入るのは本当に数年ぶりだ。

 それにしても資料だらけのリビングは既視感がある。

 これでは松葉杖で歩きづらいだろう。雪は先にそれらを拾ってテーブルへ乗せていく。

 寝室は入ったことがなかった。ここが寝室かなのかと疑いたくなるような部屋だった。

「なんなんですか、この本……落ちてこないんですか?」

「だから天井までぎっしり入っているんだ。耐震性も考えて作り付けにしたんだぞ」

「ひえー。すごいですね」

 天井までぎっしりの本棚。寝室というより、これは書庫だ。

 買って来た水と病院の薬などを出して、ベッドの側の机に並べて置いた。

「悪いが着替えも出してもらえるか?」

「はい。どこに入っているんですか?」