敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 ここはとりあえず、演技をしろと?適当に流そうと決めた。

「……あ、は、はい。お世話ですね、できる限りのことは致します」

「ねえ、ふたりは長いの?」

 長いのってそれは部下になって八年。高原が落ち着いて代わりに返事をした。

「彼女はバイトで二年、入社して六年かな。ずっと俺の下にいる。もはや空気みたいな存在だ」

「……くうき……」

 雪はあっけにとられた。言うに事欠いて空気とは……確かにまあ、否定できないところはある。当たり前のように横にいたからだ。

「直属の部下だから仕事に支障が出るのようなべたべたしたつきあいはしていない」

 べたべたしたつきあい?なんかやっぱり違う意味で言ってるような気がしてきた。しかし、お母様は嬉しそうだ。

「透ったら、いやだ、空気なんてもう夫婦も同然じゃない」

「……ふうふ……」

 口にして赤くなった。お母様はそれをまたも勘違いしたのか嬉しそうに見ている。

「透の場合、職場恋愛が一番よさそうね」

「その通り。お互い仕事を優先しても問題がない。彼女以上に理解がある相手はいない」

 お母様は雪に同意を求めるように振り返って見た。