敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 とにかく食いつくように雪を見ている彼女にとりあえず挨拶をする。

「初めまして、佐山雪と申します。高原チーフには普段から大変お世話になっております」

「そうだな、まあ色々とお世話をしている。夕べも一緒にふたりで食事をして帰った」

「え?あ、はい……」

 彼の言葉になぜか顔を赤らめるお母さま。お世話の意味を絶対勘違いしている。

「まあ、こんな方がいたなんて知らなかった。透は相変わらず帰ってこないし……」

「ああ、悪い」

「だからね、仕事漬けでまだ特定の彼女もいないだろうと思っていたの」

「え?」

 特定の彼女とは?

「だからね、面倒を看てくれる人がいないなら、実家に連れ帰って私が面倒をみようかと思っていたのよ」

「それは必要ないよ」

 チーフが雪を意味ありげに見た。嬉しそうに雪を見るお母様。

「透のこと、お世話は頼んで大丈夫かしら?」

 お母様が雪を見て言った。

「えっと、彼女じゃな……」

 遮るようにチーフが言った。

「ああ、大丈夫だ。なあ、雪」

 余計なことを言うなという顔をしていた。雪にはわかった。