敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 雪はおかしくて耐えられなかった。まるで、小学生の子供に叱るママみたいだ。

「母さん……俺はもうアラフォーだよ……一年生じゃないんだけどね」

 彼女は初めて気づいたように雪を見た。雪もびっくりして頭を下げた。

「あら、ごめんなさい。気づかなくて。透、こちらは?」

「ああ、彼女は僕の部下で親しい女性だから心配しないで」

 お母様の目が輝いた。

「まぁ!それってそういう意味?」

 彼女はすごい勢いで雪を見た。高原はニヤニヤしている。

「あ、あの……」

 高原は右手の人差し指を口元に立てて、左手は頼み事をするかのように顔の前に手を立てている。

 これはどう考えても口裏を合わせろということだろう。

「ああ、雪。紹介する。俺の母だ」

 ビクン!雪の身体に電気が走った。

 なにしろ彼に初めて名前を呼ばれた。すごい威力があった。

「あら、可愛い。真っ赤になっちゃった。初めまして、透の母です。いつも息子がお世話になってます」

 違うと両手を目の前で振る。

「おい、雪!」

 言うことを聞けという高原の目が怖い。睨んでる。