敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 誰か来たんだろう。

 雪は急いで顔を拭くと立ち上がった。ドアが開いた。

「透ぼっちゃん、具合はどうですか?あら、ごめんなさい。お邪魔した?」

 そこには看護師の中年の女性が立っていた。彼女を見て、高原はため息をついた。

「ああ瀬名さん。痛みは点滴のせいか楽になったよ」

「本当に驚きましたよ。久しぶりの再会がこれですか?驚かせないでください」

「瀬名さんはお元気そうですね。そういえば父は元気ですか?」

「院長も、奥様もお元気です。院長は今外出ですけど、奥様に連絡しておきました」

「黙っていてと頼んだのに、ひどいな」

「私も人の親ですからね。奥様はとても驚いておられました。こちらにそのうちいらしゃいます」

 高原の顔色が変わった。

「心配かけたくないんですよ、人の親ならわかるでしょう?」

 彼女は顔を曇らせた。

「坊ちゃん。警察沙汰は院長の耳に入ります。黙っていたとばれたら私が奥様から大目玉です」

 彼女は点滴を確認すると、雪にチラリと目をやり、笑顔を見せてくれた。

「とにかくお大事になさってくださいね」