Time for a change

「ねぇ、これって……噂の木箱じゃない?」

ほとんど息を呑むような声で言った。

その瞬間――
廊下の向こうから、懐中電灯の光が揺れる。

「おーい、まだ誰かいるのか?」

パキン――と何かが割れるような音、警備員の足音が近づいてくる。

「やばっ!」
「どうする!?」
「と、とりあえず逃げよう!」

誰ともなく駆け出し、ナツキが慌てて木箱を抱え上げる。
4人は息を切らしながら、暗闇のロードを走り抜け、裏門から外へ抜け出した。

やっと自分たちの家に戻れたとき、みんな汗だくで肩で息をしていた。

「なにこれ……重っ……」

ナツキが木箱を床に降ろす。
部屋の明かりの下で、4人が円を描くように箱を囲んだ。

「……開けてみる?」
「いや、やめとこうよ……」
「ここまできたら、見ない方がおかしいだろ」

主人公がゆっくりと木箱の蓋に指をかける。
ギイ――という重い音とともに、箱が開いた。

中には、黄ばんだセピア色の写真と、古びた錆びだらけの鍵。

「なに、これ……?」

写真に写っているのは、見知らぬ昔の学校と、名前の分からない子どもたち。
静かな夜が、少しずつ不穏なものに変わりはじめていた。

翌朝、校門をくぐると、みんな昨夜の出来事が嘘だったみたいな顔をしていた。
でも手に持つ木箱の重みだけは、現実そのものだった。
放課後。部活帰りの空き教室。
4人は意を決して、担任の先生に声をかけた。

「先生、あの……ちょっといいですか?」
「どうしたの?」
「ごめんなさい。……肝試しで、昨日学校に入りました」

主人公が頭を下げる。

「こら!ダメじゃない!絶対夜の学校に入っちゃダメよ!」

先生の顔が真剣になる。

「本当にごめんなさい!でも、でもそのとき……変な木箱を拾ったんです!」
「木箱……?」

先生が少し顔をしかめる。
机の上にそっと箱を置くと、空気が一瞬重くなった。

「とりあえず、その箱は今はみんなでちゃんと持っておいて。絶対、誰にも見せたり、勝手に開けたりしないようにね?」

みんなは頷く。
先生は何か気にかかる様子で、箱をちらりと振り返りながら職員室に戻っていった。



その夜。
先生は家で、晩ご飯の後も落ち着かない顔をしていた。
ふと思い立ち、おばあちゃんの部屋をノックする。

「おばあちゃん、ちょっといい?」
「どうしたの?」
「おばあちゃんって、昔うちの学校で働いてたよね?」
「うん、ずいぶん前だけど……。何かあったの?」
「今日ね、生徒たちが――肝試しで、学校に忍び込んで。……それで変な木箱を拾ったみたいなんだ。」

一瞬、おばあちゃんの表情が凍りついた。
僅かに目が見開かれる。

「木箱……でも、まだ……」
「え?おばあちゃん?」
「ああ、なんでもないよ。」

おばあちゃんはぎこちなく笑い、ソファに座り直す。
「……少し、その子たちにお話をさせてくれない? お願い。」

先生は無言で頷いた。
ただ、その声にはどこか切実な響きがあった――。