教室の窓の外には、真昼の空気に負けず、蝉の声が賑やかだった。
チャイムが鳴り終わる寸前、担任の先生の声が教室に響いた。
「皆さん、夏休みだからって浮かれすぎず、ちゃんと気をつけてくださいね。特に夜は出歩かないように。」
「はーい!」と半ば上の空で声をあげて、みんなは笑いながら教室を出ていった。
他の教室のドアも次々と開き、わいわいと生徒が廊下にあふれだす。
廊下の隅っこで、いつものメンバーが集まる。
明るくてノリのいいナツキ、怖がりだけど好奇心が強いミナ、マイペースで図太いカイト、そして私。
「ねぇねぇ、ミナ~、夏休みどうするん?」
「えー、部活もあるし、とりあえず寝る!」
「つまんねーなあ」
ナツキが笑いながら、急に声をひそめた。
「なぁ、知ってる?学校の西館に、誰も開けちゃいけない箱があるんだって」
「なにそれ、また都市伝説だろ?」とカイト。
「いや、本当に見たって先輩が言ってたらしいし。…それ、百年ごとに“選ばれる”子がいるって…」
「やめてよー、怖い話とか嫌なんだけど…!」とミナが身をすくめる。
それでも渦巻いていくワクワク。
「んじゃさ、夏休み入ったらさ――肝試しで、学校の夜、行ってみない?」
「ええっ絶対無理!」
「…行こうぜ、どうせ他にやることないんだろ?」とカイトがニヤリ。
噂の木箱。
放課後の教室は、ひんやりした影に包まれていく。
そして数日後__。
夏の夜、校庭の隅でイツメンの4人が集まる。
「ほんっとやだ…誰かきてないよね?」
「大丈夫大丈夫!」
ナツキが小さな懐中電灯を手に、先頭を切る。
校舎のドアをそっと開けると、昼間よりも広く感じる不気味な静寂が押し寄せてくる。
「なんか、変な匂い…しない?」とミナがつぶやく。
「幽霊じゃなくて、ネズミでもいるんじゃないの?」とカイトが茶化した。
しん、と廊下がとても長く感じる。
遠くの教室で、誰もいないはずなのにきゅっと椅子が動く音がして、みんな一瞬黙り込む。
「…風とか、じゃね?」
「……それにしても、寒くない?この廊下だけ」
ビビりながらも、笑いを装って進む3人。
やがて「なーんだ、何も出ないじゃん!」とナツキが空元気で笑い、みんなもつられてホッと息をついた。
「さ、そろそろ帰ろっか…」
その瞬間、カイトが何かにつまずいてよろけた。
「いって……あれ?」
懐中電灯を足元に向ける。
そこには、ひときわ不自然に、木箱がぽつんと置かれていた。
誰もそこに、そんなものがあるなんて思っていなかった。
異様な静けさと、背筋を撫でる冷気。
「木箱……」
4人は、これが単なる肝試しの終わりではなく、
本物の“噂”の始まりだと、まだ気付いていなかった――。
暗い廊下に響く足音と、誰かの吐息。
「なーんだ!ただの木箱かよ!」
無理に明るく笑うナツキの声は、どこか震えていた。
「……え、でもさ、普通こんなとこにある?」
カイトが低くつぶやく。
「さっきまで絶対なかったよね?」
ミナがぎゅっと私の袖を掴む。
背筋に冷たい汗がつうっと流れる。この場所の空気が、たった今変わった気がした。
「ねぇ、これって……噂の木箱じゃない?」
ほとんど息を呑むような声で言った。
チャイムが鳴り終わる寸前、担任の先生の声が教室に響いた。
「皆さん、夏休みだからって浮かれすぎず、ちゃんと気をつけてくださいね。特に夜は出歩かないように。」
「はーい!」と半ば上の空で声をあげて、みんなは笑いながら教室を出ていった。
他の教室のドアも次々と開き、わいわいと生徒が廊下にあふれだす。
廊下の隅っこで、いつものメンバーが集まる。
明るくてノリのいいナツキ、怖がりだけど好奇心が強いミナ、マイペースで図太いカイト、そして私。
「ねぇねぇ、ミナ~、夏休みどうするん?」
「えー、部活もあるし、とりあえず寝る!」
「つまんねーなあ」
ナツキが笑いながら、急に声をひそめた。
「なぁ、知ってる?学校の西館に、誰も開けちゃいけない箱があるんだって」
「なにそれ、また都市伝説だろ?」とカイト。
「いや、本当に見たって先輩が言ってたらしいし。…それ、百年ごとに“選ばれる”子がいるって…」
「やめてよー、怖い話とか嫌なんだけど…!」とミナが身をすくめる。
それでも渦巻いていくワクワク。
「んじゃさ、夏休み入ったらさ――肝試しで、学校の夜、行ってみない?」
「ええっ絶対無理!」
「…行こうぜ、どうせ他にやることないんだろ?」とカイトがニヤリ。
噂の木箱。
放課後の教室は、ひんやりした影に包まれていく。
そして数日後__。
夏の夜、校庭の隅でイツメンの4人が集まる。
「ほんっとやだ…誰かきてないよね?」
「大丈夫大丈夫!」
ナツキが小さな懐中電灯を手に、先頭を切る。
校舎のドアをそっと開けると、昼間よりも広く感じる不気味な静寂が押し寄せてくる。
「なんか、変な匂い…しない?」とミナがつぶやく。
「幽霊じゃなくて、ネズミでもいるんじゃないの?」とカイトが茶化した。
しん、と廊下がとても長く感じる。
遠くの教室で、誰もいないはずなのにきゅっと椅子が動く音がして、みんな一瞬黙り込む。
「…風とか、じゃね?」
「……それにしても、寒くない?この廊下だけ」
ビビりながらも、笑いを装って進む3人。
やがて「なーんだ、何も出ないじゃん!」とナツキが空元気で笑い、みんなもつられてホッと息をついた。
「さ、そろそろ帰ろっか…」
その瞬間、カイトが何かにつまずいてよろけた。
「いって……あれ?」
懐中電灯を足元に向ける。
そこには、ひときわ不自然に、木箱がぽつんと置かれていた。
誰もそこに、そんなものがあるなんて思っていなかった。
異様な静けさと、背筋を撫でる冷気。
「木箱……」
4人は、これが単なる肝試しの終わりではなく、
本物の“噂”の始まりだと、まだ気付いていなかった――。
暗い廊下に響く足音と、誰かの吐息。
「なーんだ!ただの木箱かよ!」
無理に明るく笑うナツキの声は、どこか震えていた。
「……え、でもさ、普通こんなとこにある?」
カイトが低くつぶやく。
「さっきまで絶対なかったよね?」
ミナがぎゅっと私の袖を掴む。
背筋に冷たい汗がつうっと流れる。この場所の空気が、たった今変わった気がした。
「ねぇ、これって……噂の木箱じゃない?」
ほとんど息を呑むような声で言った。


