泥団子みたいな私の恋

数日後。
椋が、珍しく緊張した顔で言った。

「今日、話しかけてみる」
「……例の人?」
「うん」

 私は少しだけ笑う。

「行ってきな」
「うん!」

 放課後。
 偶然通りかかったカフェの外。
 ガラス越しに見えた。
 椋が、勇気を振り絞って声をかけている。
 ぎこちない会話。
 でも、確かに始まっている。

(……すごいな)

 逃げなかった。
 ちゃんと、自分で選んだ。