泥団子みたいな私の恋

「ねえ美瑠ちゃん、また相談いい?」

昼休み、椋が机に顔を寄せてくる。

「……何?」
「好きな人のこと」

少しだけ胸がチクッとする。

「この前言ってた大学生?」
「うん!」

ぱっと明るくなる顔。
本気だって分かる。

「この前ね、カフェでまた見かけたの!」
「……話しかけたの?」
「無理無理無理!!」

 全力で首を振る椋。

「でもね、同じ本読んでたの。だから今、同じの読んでる!」

そう言って見せてきた文庫本。

(こういうところ、ずるいよな)

 努力してるのに、嫌味がない。

「どうしたらいいと思う?」

真っ直ぐな目。
私は少し考えてから言う。

「……ちゃんと自分で行動した方がいいと思う」
「え?」
「待ってるだけじゃ、何も変わらないでしょ」

言いながら、自分に刺さる。
椋は少しだけ驚いて、それから笑った。

「そっか。じゃあ、頑張ってみる」