夕焼け烏に茜色

まあいいけど。微笑んで会釈して誤魔化していると、美晴のお母さんが出てきた。お化粧に時間がかかったらしい。
「あなたたちほんと仲良いわね。あかねちゃん、中学でも美晴をよろしくね。」
元気で明るい美晴に対し、お母さんはおっとりタイプだ。美晴は父親似だけど、母親の優しく少したれた目元からは確かに血の繋がりを感じる。いつもにこにこしていて娘思いの優しい人だ。
「でもあかねちゃん、夕子さん来れなかったの本当に残念ね。せっかくの入学式なのに…。」
そう。既にお察しの通り、今日から私たちは中学生だ。夕子さんというのは私の母で、仕事の都合で今日は来ることができない。朝早くに慌ただしく家を出る音を聞いた。テーブルには軽く謝罪の置き手紙と一緒に、いつもより少し豪華な朝ごはんがのこされていた。ちなみに私の父は単身赴任中だ。
そんなこんなで両親欠席の入学式を迎えることになった私を気遣って、今日は美晴のお母さんが私の保護者代わりをつとめてくれる。