妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「気にするな。とにかく、リュオンは今回、セラのために怪我をしたんだ。責任をもってリュオンの看病をするように。これは命令だ」

 ユリウス様はぴんと尻尾を立て、赤いスカーフを巻いた首を反らし、澄ましたような顔でそう言った。

 この屋敷で働き始めて半月になるが、初めて命令という言葉を聞いた気がする。

「承知いたしました、ユリウス様」
「うむ。励むように」
「……楽しんでるでしょう、兄さん」
 私が頭を下げる一方で、ノエル様は何故か苦笑していた。