妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 ユリウス様の境遇を自分のそれに重ねているのもある。

 優秀すぎる弟に劣等感を覚えた兄――ああ、まるで私とイノーラを見ているようだ。

 私はいつだってイノーラと比較され、無能と謗られた。

 ブランシュ家は魔女の家系であることに誇りを持っていて、いくら勉強が出来ても魔法が使えない魔女はゴミ扱いだった。

 もし泣いていたときにドロシーが現れ、そんなに辛いのなら人間を辞めて猫になるかと聞かれたら。

 私はきっと、頷いていた。

「教えてください。ユリウス様はノエル様のことがお嫌いですか」

 肯定されたらどうしようと怯えつつ、私は尋ねた。

「……好きに決まってるだろう」

「良かったー!!」
 思わず私は素で叫んでいた。

 驚いたのか、ユリウス様がこちらを向く。