妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「待て、後片付けまでしてやるつもりなのか? 身内の不始末ならともかく、あの女は出会ったばかりの赤の他人だろう? それに、ここは公道であって自分の家の庭でもない。放っといてもお前には関係ないだろう。なんでそこまでするんだ?」
 ユリウス様が隣にやってきて私を見上げる。

 ここまで彼が近くに来てくれたのは初めてだったので、地味に嬉しかった。

「他人の吐瀉物を好き好んで見たいと思う人はいません。誰かが後始末をするべきだというなら、その『誰か』が自分でも良いではありませんか」

「………」
「自分から関わった以上、最後まできっちり面倒を見たいんです。知らん顔して逃げるのは簡単ですが、それではモヤモヤすると言いますか、やっぱり気持ち悪いじゃないですか。アマンダさんは私を良い人間だと言ってくれました。だから私はその言葉に相応しい人間でいたいと思うんです。お礼も貰いましたし」
 私はポケットを叩いてみせた。

「……。お前が根っからの善人だということがよくわかった。そういうお前だからリュオンを助けられたんだな」

 ユリウス様は猫の姿だけれど、笑っているような気がした。