「使ってください。差し上げます」
言いながら差し出す。
「あら、どうも。そんじゃ遠慮なく」
口元を拭って汚れたハンカチを丸めてポケットに突っ込み、女性は立ち上がった。
私も立ち上がる。
改めて見ると彼女は背の高い艶麗な美女だった。
腰まで届く波打つ赤い髪。同じ色の瞳。
右目の下にはほくろがあり、褐色の肌をしている。
もしも髪や衣服が乱れておらず、その口からほんのり吐瀉物の臭いが漂っていなければ、私はその美しさに陶酔していたかもしれない。
「あんた、いい子ねえ。見ず知らずの他人にこんなに優しくしてもらったのは久しぶりよ。朝から開いてる酒場で一緒に楽しく飲んでた奴らも、あたしがテーブルに盛大にゲロぶちまけたら嫌な顔して逃げちゃってさあ。酒場を追い出されて、ふらふら歩いてても、だーれも声をかけてくれないどころか、私は見えてません知りませんって顔であたしを避けてくの。ゴミでも見るようなすっごい冷たい目で見る人もいたわね。でも、あんたみたいな子がいるなら、まだまだ世の中捨てたもんじゃないわね。おねーさん感激しちゃった」
女性はにこにこ笑った。
「それは光栄ですが、朝から前後不覚になるほど飲んではいけませんよ。女性なんですから特に気を付けないと――」
「はーい、気を付けまーす。ねえ、名前は?」
お説教は嫌なのか、女性は早々に話題の転換にかかった。
「セラといいます。貴女は?」
「あたしは……んー、アマンダって感じ?」
まだ酔っ払っているのか、女性は視線を落として自身の豊満な胸を見つめた後、首を傾げて不思議な名乗り方をした。
言いながら差し出す。
「あら、どうも。そんじゃ遠慮なく」
口元を拭って汚れたハンカチを丸めてポケットに突っ込み、女性は立ち上がった。
私も立ち上がる。
改めて見ると彼女は背の高い艶麗な美女だった。
腰まで届く波打つ赤い髪。同じ色の瞳。
右目の下にはほくろがあり、褐色の肌をしている。
もしも髪や衣服が乱れておらず、その口からほんのり吐瀉物の臭いが漂っていなければ、私はその美しさに陶酔していたかもしれない。
「あんた、いい子ねえ。見ず知らずの他人にこんなに優しくしてもらったのは久しぶりよ。朝から開いてる酒場で一緒に楽しく飲んでた奴らも、あたしがテーブルに盛大にゲロぶちまけたら嫌な顔して逃げちゃってさあ。酒場を追い出されて、ふらふら歩いてても、だーれも声をかけてくれないどころか、私は見えてません知りませんって顔であたしを避けてくの。ゴミでも見るようなすっごい冷たい目で見る人もいたわね。でも、あんたみたいな子がいるなら、まだまだ世の中捨てたもんじゃないわね。おねーさん感激しちゃった」
女性はにこにこ笑った。
「それは光栄ですが、朝から前後不覚になるほど飲んではいけませんよ。女性なんですから特に気を付けないと――」
「はーい、気を付けまーす。ねえ、名前は?」
お説教は嫌なのか、女性は早々に話題の転換にかかった。
「セラといいます。貴女は?」
「あたしは……んー、アマンダって感じ?」
まだ酔っ払っているのか、女性は視線を落として自身の豊満な胸を見つめた後、首を傾げて不思議な名乗り方をした。

