妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 号泣する両親の姿を思い描いてニヤニヤしながらお茶を飲んでいたそのとき、扉がノックされた。

「ココ。筆頭宮廷魔女が貴女をお呼びです。いますぐ塔の最上階へ行きなさい」

 ――ぐふっ!!?
 危うくお茶を噴きそうになり、私はむせ返った。

《賢者の塔》の頂点に立ち、国王にすら意見を許される筆頭宮廷魔女からの呼び出しなど不吉の前兆でしかない。

 少なくとも基本給の増額といったありがたい話でないことは確実だ。

 脳が激しく混乱する。

 なんだ、私は一体何をした?
 必死になって過去の記憶を掘り越しても、筆頭宮廷魔女から呼び出されるほどの悪事を働いた覚えはない。

 行きたくない。
 猛烈に行きたくない――が、行かないわけにはいかない。

「……承知しました」

 私は立ち上がった。
 断頭台の階段を上る死刑囚のような気持ちで。