妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「…………」
 言葉が出なかった。愛した人に裏切られて殺されて。フィーナはどれほど無念だっただろう。
 リュオンが無言で私を抱き寄せた。彼の肩に自分の頭を乗せ、濡れた目元を拭う。

 高まった内圧を下げるようにドロシーは息を吐き出し、潰れた三つ編みを手放して再び口を開いた。

「あたしがそれを知ったのはフィーナが殺された一年後。あたしはいつもそう。気づいたときにはいつだって手遅れ。フリーディアが死んだときもあの子の傍には居られなかった……なにせ、こんな身体だからね」
 ドロシーは自嘲するように言って目を伏せた。

『居られなかった』――そうか、決して成長しない肉体を持ったドロシーは一か所に留まることはできないんだ。

 長く留まると見た目が変わらないことを周りの人間や魔女に怪しまれてしまう。
 彼女が変身魔法を学んだのも必要に駆られてだったのだろう。