妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「婚約おめでとう」
 ぽん、とユリウス様がリュオンの左肩を叩いてにっこり笑う。

「おめでとう」
 ノエル様もリュオンの右肩を叩いて微笑んだ。

「ああ、ありがとう――」
「――とでも言うと思ったか?」
 よく見ればユリウス様の額には怒りの血管が浮き上がっていた。

 ノエル様はただ微笑んでいるだけ。しかし、その微笑みは絶対零度の冷たさ。
 リュオンの肩を掴む二人の手に尋常ではないほどの力がこもる。

 ――結論から言うと。

 私のために無茶をしたリュオンはドロシー共々、この後滅茶苦茶怒られた。