「『あ、そうだった。いたんだ』」
リュオンは壁から手を離してイノーラを振り返った。
その隙に私は逃げた。まだ心臓はうるさく、顔は発火しそうなほどに熱い。
「…………っ」
地面にうつ伏せに倒されたままのイノーラは屈辱に顔を真っ赤にしている。
常に場の中心にいなければ気が済まなかったイノーラにとって、完全に自分を忘却していたといわんばかりのリュオンの発言は許しがたいものだっただろう。
クロード王子はといえば、打ちひしがれた様子で壁に向かって立っていた。さきほどの言い争いで暴言を吐かれたのか、愛のない結婚がショックだったのか――原因は不明だが、とりあえず彼にはもう言葉を発する気力もないようだ。
「あのさあ……」
地面に膝をつき、イノーラを最小限の動きで効率よく押さえつけているノエル様の頬は引き攣っている。
人を働かせておいていい加減にしろよお前らとでも言いたげだ。
「ぼくもう帰って良い? なんか馬鹿馬鹿しくなってきたんだけど。主に誰かさんたちのせいで」
「すみませんでしたノエル様っ。どうか帰らないでください!」
「ごめんノエル。もうふざけないから。手を離していいよ。魔法で拘束する」
リュオンがそう言うや否や、イノーラの上に金色の魔法陣が出現した。
イノーラの両手と両足に金色のひものようなものが巻き付く。
ノエル様が手を離すと、金色のひもは二つの輪へと形状変化してイノーラの両手と両足を縛り上げた。
リュオンは壁から手を離してイノーラを振り返った。
その隙に私は逃げた。まだ心臓はうるさく、顔は発火しそうなほどに熱い。
「…………っ」
地面にうつ伏せに倒されたままのイノーラは屈辱に顔を真っ赤にしている。
常に場の中心にいなければ気が済まなかったイノーラにとって、完全に自分を忘却していたといわんばかりのリュオンの発言は許しがたいものだっただろう。
クロード王子はといえば、打ちひしがれた様子で壁に向かって立っていた。さきほどの言い争いで暴言を吐かれたのか、愛のない結婚がショックだったのか――原因は不明だが、とりあえず彼にはもう言葉を発する気力もないようだ。
「あのさあ……」
地面に膝をつき、イノーラを最小限の動きで効率よく押さえつけているノエル様の頬は引き攣っている。
人を働かせておいていい加減にしろよお前らとでも言いたげだ。
「ぼくもう帰って良い? なんか馬鹿馬鹿しくなってきたんだけど。主に誰かさんたちのせいで」
「すみませんでしたノエル様っ。どうか帰らないでください!」
「ごめんノエル。もうふざけないから。手を離していいよ。魔法で拘束する」
リュオンがそう言うや否や、イノーラの上に金色の魔法陣が出現した。
イノーラの両手と両足に金色のひものようなものが巻き付く。
ノエル様が手を離すと、金色のひもは二つの輪へと形状変化してイノーラの両手と両足を縛り上げた。

