妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 心臓が過負荷に耐えかねて爆発してしまいそうだ。

 クロード王子との言い争いが終わったらしく、イノーラがちょっとあんたたち何してるのよとかなんとか言っているようだが、耳には入ってきても脳には届かなかった。

「おれ以外の人と結婚するなんて考えられない? なんかまるで、おれのことが好きだって言ってるように聞こえるんだけど。遠回しな告白だと受け取っていいのか?」
 リュオンの指が私の頰に触れ、そのまま顎を持ち上げる。
 私を見つめる青い瞳は怖いくらいに真剣そのものだ。

「だ、だから、いまはそんな話をしている場合ではなくてですね……ひ、人前でする話でもないような気が……」

「なら後で二人きりになったときに聞かせてくれるんだな?」

 追い詰められた私は進退窮まり、困り果てていたのが実情なのだが。

「『私を無視してイチャイチャしてんじゃないわよおおおっ!!』」

 ロドリー語が理解できないイノーラには私たちが戯れているようにしか見えなかったらしく、涙目で絶叫した。