妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「『……貴重な魔力増幅アイテムと同じ力ですって? 嘘でしょう。信じないわ。あんたにそんな特別な力があるなんて――《国守りの魔女》が本当にあんただったなんて、そんなこと、あっていいわけないでしょう?』」

「『信じる信じないは自由だけど、あなたが何を言おうと私はレアノールには帰らない。私の居場所はここにあるの』」
 少しだけ首を傾けてリュオンを見ると、リュオンは微笑んで私の手を握る手に力を込めた。私も自然と微笑み、彼の温かい手を握り返す。

「『……何……何なのよ。どうなってるの。さっきからずっと仲良さそうに手を繋いで――まさかそいつ、あんたの恋人って言うんじゃないでしょうね』」
 何故か震え声でイノーラが尋ねてきた。

「『そうだよ。おれとセラは愛し合ってるんだ。な?』」
 リュオンが平然と嘘をつき、繋いでいた手を離して私の腰を抱いたため、心臓が大きく跳ねた。

「『……そうよ。大事な恋人よ』」
 私は思い切って彼の肩に頭を乗せた。

 嘘ではない。
 付き合っているわけではないが、恋しく思う相手というなら彼は正しく私の恋人だった。