「……ああ。そういうことだったのね。最初からそう言ってくれれば良かったのに」
私は苦笑し、リュオンの手首を握っていた手を離した。
「……意外と冷静だな。大丈夫なのか?」
戸惑ったような顔でリュオンが私を見る。
「ええ。散々私を虐げたあの子が私を連れ戻しに来たと知っても、私の心には不思議と波一つ起こらなかった。きっと、リュオンが私の心を守ってくれたからだわ」
私は手を伸ばしてリュオンの頰に触れた。
恐らくリュオンたちは六日前、国内外に情報網を張り巡らせているバートラム様からイノーラとクロード王子の動向を知らされたのだ。
そしてリュオンはその日から毎日魔法を使い続けた。新たに街に入ってきた人間、少しでも屋敷に近づく素振りを見せた人間――いいや、出来る限り《《全て》》を監視していた。イノーラに同行しているであろう敵が己以上の技量を持つ魔女であることも想定し、わずかな魔法的な異変も見逃すまいと心を砕いたはず。
全く、信じられない話だ。
自分にかかる多大な負担をまるで無視している。
それでも彼は私のために無茶を貫き通した。
彼が青白い顔をしているのは私のためだ。
こんなにも私を心配し、大切に想ってくれる人なんて、世界中のどこを探してもいない。
愛おしさがこみ上げ、許されるならこのままキスをしてしまいたいくらいだった。
私は苦笑し、リュオンの手首を握っていた手を離した。
「……意外と冷静だな。大丈夫なのか?」
戸惑ったような顔でリュオンが私を見る。
「ええ。散々私を虐げたあの子が私を連れ戻しに来たと知っても、私の心には不思議と波一つ起こらなかった。きっと、リュオンが私の心を守ってくれたからだわ」
私は手を伸ばしてリュオンの頰に触れた。
恐らくリュオンたちは六日前、国内外に情報網を張り巡らせているバートラム様からイノーラとクロード王子の動向を知らされたのだ。
そしてリュオンはその日から毎日魔法を使い続けた。新たに街に入ってきた人間、少しでも屋敷に近づく素振りを見せた人間――いいや、出来る限り《《全て》》を監視していた。イノーラに同行しているであろう敵が己以上の技量を持つ魔女であることも想定し、わずかな魔法的な異変も見逃すまいと心を砕いたはず。
全く、信じられない話だ。
自分にかかる多大な負担をまるで無視している。
それでも彼は私のために無茶を貫き通した。
彼が青白い顔をしているのは私のためだ。
こんなにも私を心配し、大切に想ってくれる人なんて、世界中のどこを探してもいない。
愛おしさがこみ上げ、許されるならこのままキスをしてしまいたいくらいだった。

