妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 いいや、いまに限った話ではない。
 気づけばいつだって、私の目は彼の姿を追っていた。

 その理由は。
 寝ても覚めても彼のことばかり考えている理由は――ああ、もう認めるしかない。

 ――私、リュオンのことが好きなんだわ。

 エマ様と同じで、親に決められた婚約者がいたから想いを心の奥底に沈めてしまっただけで。

 八年前、診療所を去ろうとしたあのとき。
 リュオンが私の手を握って、私の名前を呼んで笑ったあの瞬間。

 きっと、私は恋に落ちていた。