妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「――待って!」
 私は東屋を飛び出して彼の手を握った。

「行くわ。行きたい。連れて行って。お願い」

 世界中の誰よりも、彼に嫌われるのが一番怖い。
 泣きそうになっているのを自覚しながら懇願すると、リュオンは無表情から一転して笑った。

 私の手を握り返して、笑ったのだ。

「いいよ。一緒に星を見に行こう」

 屈託のないその笑顔を見て、ぎゅうっと心臓が痛くなる。

「……ええ。約束よ」
 微笑む。

「ああ。約束。さ、帰ろう。もう夜も遅い」
 
 柔らかく微笑み返して、彼は私の手を引いて歩き出す。

 夜風に彼の金髪が揺れている。
 綺麗な横顔だ。つい見惚れてしまう。