妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 焼けたようにヒリヒリ胸が痛む。
 大切な人を馬鹿にされた怒りと悲しみと悔しさと――色んな感情がない交ぜになって、心が破裂してしまいそうだ。

 私たちはそれ以降、無言で歩いた。

 辿り着いた公園では向日葵を始めとした夏の花々が美しく咲き乱れている。

 でも、膨れ上がったままの負の感情を処理しきれない私の目にはせっかくの花も景色も、全てが色褪せて見えた。

 子どもたちの笑い声も、大人たちが会話する声も、どこか遠い世界の出来事のよう。

 心境は皆同じだったらしく、やはり公園に着いても言葉を発する人間は誰もいなかった。

「では帰りましょうか、ユーリ様。帰ったらとびきり美味しい紅茶を淹れますね。良い茶葉が手に入ったんですよ――」

「――ユリウス様?」
 努めて明るく言ったそのとき、公園内から年若い女性の声がかかった。

 反射的にだろう、びくりとユリウス様が身体を震わせる。