この前、興味本位でノエル様の腕前を見せてもらったのだが、ノエル様は指と指の間に挟んだナイフを全て遠く離れた的のど真ん中に命中させていた。
それでいて「ナイフはあまり得意じゃないんだけどね。ぼくは父上と同じ双剣使いだから」とさらりと言ってのけた。
得意ではないナイフであの腕前ならば、双剣を持ったら一体どれほどの強さを発揮するのか……冷や汗が流れた出来事だった。
平気な顔を装ってリュオンと手を繋ぎ、皆で談笑しながら陽光を反射して眩しいくらいに輝く川面を眺めていると。
――くすくす。
耳障りな笑い声が聞こえた。
私は会話を中断して斜め前方を見た。
ユリウス様を見て笑っているのは緑で覆われた土手に座る二人の女性。
「ほら、あれがユリウス様だよ」
「ああ、例の、花嫁に逃げられたっていう。それも、結婚式当日でしょ?」
「ヒサンだよねえ。カワイソー。でも花嫁が逃げるってことは、本人に何か重大な問題があるんじゃないの? とても言えない趣味があるとか」
「どんな趣味よお、それ。猟奇的とか? ああ見えて少女趣味の変態だったり?」
「嫌だ、最悪。将来そんな人が私たちの領主になるの? 大変だわ、いまのうちに引っ越さないと」
――くすくすくす。
それでいて「ナイフはあまり得意じゃないんだけどね。ぼくは父上と同じ双剣使いだから」とさらりと言ってのけた。
得意ではないナイフであの腕前ならば、双剣を持ったら一体どれほどの強さを発揮するのか……冷や汗が流れた出来事だった。
平気な顔を装ってリュオンと手を繋ぎ、皆で談笑しながら陽光を反射して眩しいくらいに輝く川面を眺めていると。
――くすくす。
耳障りな笑い声が聞こえた。
私は会話を中断して斜め前方を見た。
ユリウス様を見て笑っているのは緑で覆われた土手に座る二人の女性。
「ほら、あれがユリウス様だよ」
「ああ、例の、花嫁に逃げられたっていう。それも、結婚式当日でしょ?」
「ヒサンだよねえ。カワイソー。でも花嫁が逃げるってことは、本人に何か重大な問題があるんじゃないの? とても言えない趣味があるとか」
「どんな趣味よお、それ。猟奇的とか? ああ見えて少女趣味の変態だったり?」
「嫌だ、最悪。将来そんな人が私たちの領主になるの? 大変だわ、いまのうちに引っ越さないと」
――くすくすくす。

