妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「×××××。××××××。×××××」
 意味不明な台詞の中で、彼女はある言葉を繰り返していた。

「××××。×××。××××、×××××」
 察するに、彼女は『大丈夫』と言っているようだった。

 大丈夫、きっと助ける。大丈夫、私がなんとかする。何も心配いらない。大丈夫――訳すとこんなところか。

 自分が彼女の立場だったなら、相手を安心させるために言うだろう言葉。

 自分と同い年くらいの子どもを背負って歩くのは相当に辛いはずだ。

 腕は痺れ、足腰は痛み、やがて重みに耐えられなくなるはずなのに、彼女は何度もおれを背負い直し、意地でも下ろそうとはしなかった。

「……なあ。もう下ろしていいよ」

 彼女の首筋に浮かぶ玉のような汗を見て、おれは声をかけた。