妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「何故笑う?」
「いえ。こうやって誰かに心配していただけるのはありがたくて、嬉しいことだなあと思いまして。そうだ、ユーリ様。リュオンが元気になったら、みんなで街へ出かけませんか?」
「……街……」
 ユリウス様は俯き、恐ろしい怪物の名前でも呟くような言い方をした。

「あっ、いえ。街に出かけるのが難しいなら、まずは丘の周りを歩くだけでも良いんです。私と一緒に、少しずつ外に出る訓練をしましょう? 大丈夫です。ユーリ様の傍にはノエル様やリュオンがいます。みんなあなたの味方ですよ」

「……セラもだろう?」
 顔を上げてユリウス様は私を見つめた。

「はい、もちろんです! 有事の際にはあまり頼りはならないかもしれませんが、その分、精神面では全力でユーリ様を支える所存です!」
 私は再び拳を握って大きく頷いた。