「ユリウス様は女性が怖いのに、無条件で私を迎え入れてくださった優しい方です。結婚式では心無い人もいたとは思いますが、みんながみんな敵だとは思わないでください。婚約者がいたから遠慮していただけで、ユリウス様の魅力に気づいていた女性は絶対にいます。ユリウス様は優しくて、格好良くて、温かい心を持ったお方です。女性恐怖症を克服して、もう一度社交界に出れば、世の女性は放っておきませんよ。いつかきっと素敵な女性と巡り合えます」
「……。どうだろうな。結婚式当日に逃げられるまで、俺はエリシアをこの世で一番素敵な女性だと思っていたんだ。困ったことに、俺には見る目がないらしい」
結婚式当日に逃げた花嫁の名前はエリシアといったのか。
エンドリーネ伯爵夫妻も、ネクターさんやリュオンやノエル様も、その名前を口にするのも嫌みたいで教えてくれなかったから、いま初めて知った。
「あっ、そこはお任せください!」
ユリウス様を励ますべく、私はことさら明るく言って、床に跪いたまま片手をあげた。
「私は書類上ではユリウス様の妹ですから。今度ユリウス様とお付き合いされる女性がお兄様に相応しい、素敵な女性でなければ、ノエル様とリュオンと結託して、どんな手を使ってでも別れさせます。剣の達人と魔法の達人です。どうですか、どんな女性も裸足で逃げ出す最強の布陣だと思いませんか?」
悪戯っぽく笑ってみせたけれど、ユリウス様は耳をぴんと立てたまま何も言わなかった。
「……申し訳ございません。調子に乗りました。もう二度と言いません」
恥じ入って頭を下げると、ユリウス様は頭を振った。
「違う、怒ってはいない。そうか。セラは俺の妹になるわけだからな。お兄様……なるほど。新鮮な響きだ」
ユリウス様の黒い尻尾が一度だけ揺れた。
「……。どうだろうな。結婚式当日に逃げられるまで、俺はエリシアをこの世で一番素敵な女性だと思っていたんだ。困ったことに、俺には見る目がないらしい」
結婚式当日に逃げた花嫁の名前はエリシアといったのか。
エンドリーネ伯爵夫妻も、ネクターさんやリュオンやノエル様も、その名前を口にするのも嫌みたいで教えてくれなかったから、いま初めて知った。
「あっ、そこはお任せください!」
ユリウス様を励ますべく、私はことさら明るく言って、床に跪いたまま片手をあげた。
「私は書類上ではユリウス様の妹ですから。今度ユリウス様とお付き合いされる女性がお兄様に相応しい、素敵な女性でなければ、ノエル様とリュオンと結託して、どんな手を使ってでも別れさせます。剣の達人と魔法の達人です。どうですか、どんな女性も裸足で逃げ出す最強の布陣だと思いませんか?」
悪戯っぽく笑ってみせたけれど、ユリウス様は耳をぴんと立てたまま何も言わなかった。
「……申し訳ございません。調子に乗りました。もう二度と言いません」
恥じ入って頭を下げると、ユリウス様は頭を振った。
「違う、怒ってはいない。そうか。セラは俺の妹になるわけだからな。お兄様……なるほど。新鮮な響きだ」
ユリウス様の黒い尻尾が一度だけ揺れた。

