妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

「いいんですか?」
 喜んで隣に座ると、ユリウス様は口を閉じ、
「やっぱりもう少し距離を置いてくれ。人一人分の空間の確保を要求する」
「はい」
 私は少し離れた場所に座り直した。

「ええと……」
 緊張してしまって話題が思いつかないらしく、長い沈黙の果てにユリウス様は言った。

「元気か?」
「はい。おかげさまで」
 笑いそうになるのを堪えながら答える。

「そうか。俺も元気だ。お互い元気で何よりだな。いや、そうではなくて……。えーと……リュオンの具合はどうだった?」

「寝込んでいますから、あまり良いとは言えませんね。でも、苦しくても冗談を言う余裕はあったみたいなので、そこまで深刻にならなくても大丈夫だと思います。数日もあれば熱は下がるはずです。どんなに遅くとも三日後には魔法を使えるようになると思いますよ。もう少しの辛抱です」

「……そうか。あいつにはいつも迷惑をかけて申し訳ないな」
 ユリウス様の三角の耳が垂れた。

「ユリウス様、リュオンは迷惑だとは思ってないと思います」
 私がそう言うと、ユリウス様は紫の瞳をこちらに向けた。