妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 私以外に誰もいない第二食堂で、冷え切ったスープを口に運ぶ。

 食堂の端に置かれた柱時計は午後一時過ぎを指している。

 ネクターさんが用意してくれた朝食はもはや昼食となってしまった。
 硬くなったパンを飲み下しながら思い出すのは少し前のリュオンとのやり取り。

 怒鳴ってしまった直後、我に返った私はリュオンに謝罪した。

 ――ごめんなさい、恥ずかしくてつい……もう二度と言わないわ、許して。

 昨日も私は彼に同じことを言ってしまった。私のために必死になってくれた人に対して「馬鹿」などと、失礼極まりないことを。

 自分の言動が信じられなかった。

 他人に「馬鹿」なんていままで言ったことがなかったのに。どんな仕打ちを受けようと負の感情は全部押し込めて、常に相手のことを考えてきたのに。

 ――本当にごめんなさい。

 深く後悔しながら頭を下げると、リュオンは気にした風もなく「大げさだな、謝らなくていいよ。元はと言えば冗談を言ったおれが悪いんだから」と笑った。